安心して任せられる人と、そうでない人。その違いに気づくヒント
言葉の違いを知り、タイミングの目安を知り、費用感と流れをつかんできました。ここまで来ると、あとは「誰に頼むか」という最後の、そしてもっとも大切な問いが残ります。
業者選びに、絶対の正解はありません。ただ、後悔しないために見ておきたい視点はあります。
この記事の流れ
まず、許可と資格を確かめる
感覚の話に入る前に、確かめられる事実から見ていきましょう。
ひとつは、建設業の許可です。実は、工事1件あたりの請負金額が一定額(一般に500万円)に満たない工事であれば、許可がなくても請け負うことができます。ですから「許可がない=違法」ではありません。
ただ、許可を受けるには、経営の経験、専門的な資格を持つ技術者がいること、一定の財産的な基礎など、いくつもの条件を満たす必要があります。つまり許可があるということは、その条件を満たしていることを第三者が確認しているということです。大きな工事ほど、ひとつの目安になります。
会社のホームページに許可番号や所在地がはっきり書かれているか。この程度のことでも、確かめておく価値はあります。
見積書の「内訳」を、説明してもらえるか
見積書を受け取ったら、まず全体の金額だけでなく、中身にも目を通してください。
「内装工事 一式」のように、まとめて金額が示されていること自体は珍しくありません。細かな工程や雑材をひとつにまとめて示す書き方は、実務上よく使われます。大切なのは書き方そのものより、「これは何が含まれていますか」と聞いたときに、きちんと説明してもらえるかどうかです。
古いものを撤去して処分する費用は入っているか。家財を移動する費用は。工事後の清掃は。聞けばすぐに答えが返ってくる会社は、内容を把握したうえで金額を出しています。逆に、聞いてもあいまいな返事しか返ってこない場合は、少し立ち止まって確認したほうがよいかもしれません。
できないことを、できないと言ってくれるか
ここからは、実際に話してみて分かることです。
「だいたい大丈夫です」で終わらせず、なぜそう言えるのか根拠まで説明してくれるかどうか。これは大きな目安になります。
そしてもうひとつ、できないことを、できないと言うかどうか。マンションの規約で床材が制限されている、構造上この壁は抜けない、この予算ではここまでが限界です。こうした話を先に伝えてくれる相手は、信頼していいと思います。
逆に、何を言っても「できますよ」と返ってくる場合は、少し立ち止まってください。その場では本当にできるのか区別がつきませんが、できなかったときの負担は、すべて住む側にかかってきます。
職人との距離が近いか
営業の担当者と、実際に工事をする職人が離れていると、現場での細かいニュアンスが伝わりにくくなります。打ち合わせで話したことが現場に届いていない、現場で気づいたことがこちらに上がってこない。工事は伝言が重なるほど、少しずつずれていきます。
ですから「実際に工事をするのは、どなたですか」と聞いてみてください。協力会社に頼むこと自体はごく普通のことで、専門の職種はむしろそのほうが確かです。大事なのは、誰が現場をまとめ、誰に連絡すればいいのかがはっきりしているかです。
契約の内容を、事前にきちんと説明してもらえるか
契約を決める前に、内容について詳しく説明を受けてください。保証書などの書面そのものは、工事の完了時にまとめて渡される場合も多くありますが、どんな保証が、どんな条件で受けられるのかは、契約前の段階で口頭でも構わないので確認しておくことが大切です。「聞けばきちんと答えてくれるか」が、ここでも判断の目安になります。
確認したいのは、工事の範囲、金額の内訳、支払いの時期、工期、そして保証の内容です。とくに保証は、何が何年間保証されるのかを確かめてください。工事した部分の保証と、設備メーカーの保証は別ものです。
前回お話ししたとおり、壁を開けてから分かることは必ずあります。そのとき追加費用をどう決めるのか、誰の承諾で進めるのか。ここが曖昧なまま始まると、あとで一番もめます。
価格の差には、見えないものが入っている
一番安い見積もりが、必ずしも一番よい選択とは限りません。自分たちの都合で言っているのではなく、実際にそういう現場を見てきたからです。
値段の差には、職人の技術、現場を管理する体制、材料の質、そして工事後に何かあったときに来てくれるかどうかが含まれています。「価格」「品質」「サービス」の3つは、どれかを大きく下げれば、どこかにしわ寄せがいきます。
他社より極端に安い見積もりが出てきたときは、理由を聞いてみてください。仕入れに強みがあるなど、はっきりした理由があるなら安心です。理由の分からない安さは、あとから追加費用が出るか、どこかが省かれているか、どちらかであることが少なくありません。
相見積もりの、ちょうどいいとり方
複数の会社から見積もりを取ること自体は、まったく問題ありません。むしろ相場感をつかむうえで有効です。ただ、取り方にはコツがあります。
数を増やしすぎないこと。3社ほどが目安です。5社、6社と増やすと比べる作業そのものが大変になり、結局は合計金額だけで決めることになりがちです。
同じ条件で頼むこと。A社には「キッチンを新しく」、B社には「キッチンと床も」と伝えてしまうと、出てきた金額は比べようがありません。
そして、他社の見積書を見せて値引きを迫るのは、あまりよい進め方ではありません。その場では安くなっても、削られたのは利益ではなく工事の中身かもしれないからです。
最後は、話していて安心できるか
ここまで確かめられることを並べてきましたが、最後はやはり、人です。
リフォームは、短くても数週間、長ければ数か月の付き合いになります。しかも相手は、あなたの家の中に入ってくる。図面や見積書には表れませんが、この「話しやすさ」は満足度を確実に左右します。
こちらの話をさえぎらずに聞いてくれるか。急かされていないか。帰ったあとに聞きそびれたことを思い出しても、また聞けそうか。
ご自身の直感を、どうか信じてください。毎日その家で暮らしている方の感覚は、たいてい当たっています。人を見るときも、それは変わらないと思います。
ここまで、五つの記事を通して、リフォームの基本的な考え方を一緒にたどってきました。あとは、実際にご自宅の状況を、私たちに聞かせてください。


