「リフォーム」と「リノベーション」、そのあいまいな境界線
キッチンの引き出しの滑りが、少し重くなってきた。洗面台の下から、うっすらと湿った匂いがする。そんな小さな違和感に気づいたとき、頭のなかに「リフォーム」という言葉と「リノベーション」という言葉が、同時に浮かんでくることがあります。
似ているようで、少し違う。でも、どう違うのかを聞かれると、案外うまく説明できない。そんな方は、実はとても多いです。まずはこの記事で、二つの言葉の距離感を、ゆっくり確かめてみましょう。
「直す」のがリフォーム
リフォームは、もともとの間取りや構造はそのままに、古くなった部分や壊れた部分を新しく「直していく」工事のことを指します。壁紙を張り替える、キッチンの設備だけを新しくする、洗面台を交換する。暮らしの土台は変えずに、傷んだところを手当てしていくイメージです。
費用も比較的抑えやすく、工期も短めに済むことが多いので、「気になるところから少しずつ」という進め方がしやすいのが特徴です。
「つくり変える」のがリノベーション
一方でリノベーションは、間取りの変更や配管の位置替えなど、住まいの構造そのものに手を入れて、暮らし方ごとつくり変えていく工事です。壁を取り払って広いリビングにする、水まわりの位置をまとめて移動させる。今の生活に住まいを合わせるのではなく、これからの暮らしに合わせて住まいの方を作り直す、という考え方に近いものです。
工事の規模が大きくなる分、費用も工期も上がりますが、その分、住まいへの満足度が大きく変わる工事でもあります。
結局、どちらを選べばいいのか
ここまで読むと、「うちはどっちなんだろう」と思われたかもしれません。実はそれで自然です。多くのご相談は、はじめは「リフォームのつもりで来たけれど、話しているうちにリノベーションに近い提案になった」というように、境界線があいまいなまま進んでいきます。大切なのは、言葉の正しさよりも、今のお住まいがどんな状態で、これからどう暮らしていきたいか、という点です。
では、実際のところ、みなさんのお宅は今、どのあたりのタイミングにいるのでしょうか。次は、築年数から見る一つの目安について、お話ししてみます。
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